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極楽寺のアナンさん

· 鎌倉的生活

家の近くに、山がある。

はじめは長い階段で、ところどころに家々が見える。こんなところに住んでいるなんて、毎日階段の上り降りが大変だわ…と勝手に同情してしまう。しばらくすると、ひとりが通れるくらいの幅の山道に変わった。まわりは木々に囲まれ、鳥の声がすぐそばで聞こえる。そんな道を20分ほど歩いたところで、下道に続く階段を降りる。

そこは極楽寺駅の裏だった。そういえば、このあたりにアナンさんの家があったはず、と思いだした。アナンさんとは、インドからやってきて日本にスパイスやインドカレーを広めたひと。雑誌などで見かけて、近所にそんな人がいるのかと気になっていた。ご自宅でカレーのキットとかを販売しているみたいだし、行ってみよう。

地図をたよりにたどり着いたのは、大きな古民家だった。入り口に「アナン」と書かれた置物が目印だ。ドアは閉まっている。でも、縁側に人の姿が見える。お客さんだろうか、入っても大丈夫そうな雰囲気。インターホンがあったけれどなんだかちがう気がして、「ごめんください」と言ってドアを開けた。

入ってすぐの部屋は、たくさんの商品がきれいに置かれていた。入っていいのかな?きょろきょろしているとアナンさんがやってきた。もちろんアナンさんとは初対面である。顔も知らない。でも、インド人の顔立ちをして何やらにやにやしているおじさんは、きっとアナンさんだろうとなぜか確信した。

アナンさんは「どうぞ〜」と言いながらも「やっぱりやめる?」と冗談っぽく聞いてきた。どうやら入っていいらしい。靴を脱いで上がる。ひとまず商品を見る。カレーのスパイスセットやレトルト、ドレッシング、紅茶、ハチミツなどさまざまな商品が並んでいる。

そこからアナンさんとの会話がはじまり、「お茶でも飲んでいけば?」と奥の広い和室に通してくれた。その部屋にはすでに4人の先客がいた。アナンさんの友人だそうで、うち2人は私たちの家のすぐ近くに住んでいることがわかった。

メッティ茶や大豆カレーをいただきつつ、みんなでおしゃべり。こうして会うことは千年前から決まっているのだよ、というメッセージを受けながら。なんだか不思議な時間だった。

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